めっちゃ高い自転車で京都市内をうろうろしたいなあ

2006年08月11日

BLOODY ROMANCE

嘗てリリスの夫であったアダムが禁断の果実を口にした瞬間から肉欲は生まれ、すべての罪の源泉となった。
永遠の命は失われ、やがては腐って朽ちていく肉なるものに堕した人間達。

永遠の楽園に植わっていたという「生命の樹」。それを模したと言われる「カドゥケウスの杖」は錬金術そのものを示していると言われている。
それをもって練成される「賢者の石」
エリクシール・エイジャの赤石・赤きティンクトゥラと呼ばれる赤い輝きは神々の奇跡の結晶なのだ。
人間には決して練成出来ぬその奇跡を手にした神人の曾孫は、大天使ウリエルに大洪水と世界の終末を教えられ、箱舟を作り世界中の命と共にアララト山へ漂着することになる。

ウリエルの残した蒼く輝く業火は片翼を焼き落とし、それでも尚、世界を数度滅ぼす力を持ったリリスは奇跡の結晶の香りを背の果てに感じ取った。

気配を押し殺して迫りくる娘に語りかけるようにリリスは呟いた。
「貴女からはエリクシールの匂いがするわ…なぜ撃たなかったのかしら?」

アリエッタは荒れる息を整えて、凛とした声音で応えた。
「…この銃を受け継ぐ一族は、獲物を背後からは撃たないわ」

リリスは少し微笑んで、振り返りアリエッタの瞳の奥を見つめた。
昂ぶる感情を押さえ込む意思の輝き。
怯えも恐れも迷いもない、美しい人智の光。
その光こそが希望を生み、人の世を紡ぐのだ。

「気高い娘よ。お名前は?」
蘇ってから初めて人間を見た気がするわ…そう思いながらリリスは尋ねた。

「アリエッタ…」
静かに名乗った娘の銃身には恐らくエリクシールの欠片が弾丸として篭められているのであろう。

「アリエッタ。賭けをしましょう」
リリスは獣の数字が刻印された右目を指差して言った。
「3つ数えた後に見事、この目を撃ち抜けたら貴女の勝ち」
そして楽しそうに笑って続ける。
「失敗しても安心なさい。貴女は私の娘として可愛がってあげるわ。世界の終末の後でね」

アリエッタはフッと目を閉じ、僅かに残る感情の澱を吐息と共に捨てた。
「わかったわ。始めましょう」

リリスの声音が淡く蒼い光に包まれた回廊に響き渡った。

「ひとつ…」
霧丸先生…。

「ふたつ・・・」
カーマイン様…。

「みっつ…」
おとうさま!

やがて響き渡る銃声の果てに世界を覆った光は、世界を焼き尽くす蒼白い終末の炎の輝きか、贖罪を続けることを許された神々がもたらす再生の紅い奇跡の炎の輝きか…。
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