めっちゃ高い自転車で京都市内をうろうろしたいなあ

2006年08月05日

BLOODY ROMANCE

アリエッタは降りしきる大雨と雷鳴轟く闇の中、疾風となって駆け抜けていた。

薄れゆく領主の魂を救うために。
罪なき領民の魂を救うために。
そして亡き父の魂を掬うために。

城から村を繋ぐ広場へと至る道筋で若き狩人は微かに、しかし確かに幾多の絶叫を聞いた。
やがてそれは骨の砕かれる音へと変わり、肉が食いちぎられる音が加わり、凄まじい悪意の奔流が押し寄せてくる。
大粒の雨雫でも消しきれぬ血生臭い匂い立ち込めるようになった辺りで、アリエッタは濃緑に聳える木立の中で気配を消した。

恐らくリリスが蘇らせたのであろう。
蠢く鍵十字の兵士達の死体が、同朋である筈の重ね稲妻の黒服達を食い散らかしている。
両者の間でなにがあったかは容易に想像がついた。
凄まじい復讐の念が肉片も骨片も残さず平らげ、荒れ狂っていた血の海もいまは穏やかな朱の波となっていた。

獲物の姿はここには無い。

しかし、西の村で突如上がった火柱を見てアリエッタは息を整えた。
「私は…」

そして、再び闇の中へと滑り込んでゆく。
「守ることを諦めない…」

終末の前奏曲のように大地が震えていたが、その想いは決して挫けることなく駆け始めていた。
…西へと。


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